30秒の商品動画はいくら?費用を決めるのは尺だけではない
最終更新:2026年11月
「30秒の商品動画はいくらですか?」これは、クライアントから最もよく聞かれる質問の一つです。しかし同じ30秒でも、見積もりは10倍近く変わることがあります。
尺は要素の一つにすぎません。本当に費用を左右するのは、プロジェクトにどれだけ不確定な要素があるかです。どこまで細かく仕上げるのか、どの工程まで関わるのか、修正は終わるのか、時間は足りるのか。不確定な部分が多いほど、チームが確保すべき時間と人員も増えます。
同じ30秒でも、なぜ価格が大きく違うのか
見積もりでは、30秒の動画を作る手間だけでなく、プロジェクトの開始から完了までに必要なすべてを考えます。
| 確定度が高い | 不確定度が高い | |
|---|---|---|
| 映像への要求 | 過去に協業しており、基準がわかっている | 初めての協業で、基準を推測する必要がある |
| 制作範囲 | クライアント提供の商品素材と指示に沿って制作 | 構想、絵コンテ、撮影からポストプロダクションまで関わる |
| 修正 | 完成後に1〜2回の微調整 | 複数の部署を経由し、修正回数に上限がない |
| スケジュール | 締め切りが明確で、制作期間が適度 | いつ完了するか予測しにくい |
2本の商品動画、価格差は10倍近く
NordinaryとAdidasはどちらも商品アニメーションですが、価格は10倍近く違いました。
NordinaryのIG Story商品アニメーションでは、クライアントが商品を提供し、求める雰囲気も明確に伝えてくれました。撮影は不要で、チームは指示に沿って3Dモデルとアニメーションを制作し、1週間以内に完成。最初のバージョンでそのまま確定しました。Pawoofの商品動画も同じタイプのプロジェクトです。
一方、Adidas Adizeroの広告は代理店を通じた案件でした。代理店とともにアイデアを練り、絵コンテを描き、撮影に立ち会い、構造が複雑なランニングシューズを3Dスキャンしてモデリングしました。制作中は、さまざまな関係者からのコメントにも何度も対応しました。
どちらも30秒未満の動画です。違いは、制作範囲、関わる工程、承認の流れにありました。
映像への要求:どこまで細かく、事前にわかっているか
映像への要求は、緩やかな場合もあります。動画が求める雰囲気におおむね合っていれば十分、というケースです。一方で、ショットごとに明確な指示があり、動き一つひとつまで調整が必要な場合もあります。細かく仕上げるほど、作業量は当然増えます。
ただ、見積もりにより大きく影響するのは、どこまで細かく仕上げるかをチームが事前に把握しているかどうかです。過去に協業したクライアントなら、普段どの程度まで詰めるのか、何を求めているのかがわかるため、正確に見積もれます。初めての協業では基準を推測するしかなく、テストや修正の時間を多めに確保する必要があります。
制作範囲:映像以外の仕事
同じ30秒でも、監督がフリーランスに依頼する動画と、スタジオが企業クライアントのために作るブランディング動画とでは、裏側の作業量が大きく異なります。企業案件では、制作そのもの以外にも次のような仕事があります。
- クライアントの会議日程、納品物、スケジュールに合わせ、時間が厳しくても毎回の会議で検討できる内容を用意する。
- クライアントが上司や他部署に報告しやすいよう、プレゼン資料を準備する。
- 複数の部署からの意見をまとめる。修正回数に上限がないことも多い。
- プロジェクトがいつ完了するか予測しにくい。
こうした仕事は画面には表れませんが、プロジェクトの大部分の時間を占め、見積もりの差の主な原因になります。
スケジュール:短すぎると高く、適度な期間が理想
期間が長いほど安くなるわけでも、短いほど安くなるわけでもありません。
通常2週間かかる作業量を1週間、あるいは数日で仕上げる必要があれば、人員を増やして急ぐことになり、価格は大きく上がります。
反対に、締め切りが明確で時間がちょうど足りる場合もあります。たとえば2週間後のイベントで使う動画なら、数日で方向性を決め、約1週間で制作し、イベント前に確認してもらい、文言の修正や細かな調整をして完了します。それほど急ぐ必要はなく、修正の余地も限られ、範囲も明確なので、かえって価格を抑えやすくなります。
実際の状況はプロジェクトごとに異なります。
本当に時間がかかるのは、方向性のすり合わせ
最初からブリーフが明確で、クライアントがチームの判断を信頼しており、さらにシンプルで直接的な、チームの得意な制作方法が合うプロジェクトなら、30秒の動画は数日から1週間ほどでファイナル品質まで仕上げられます。
実際には、時間の大部分は制作以外に使われます。動画が用途に合うよう、クライアントと方向性をすり合わせること。ある方向で試して期待ほどの効果が出なければ、調整したり方向転換したりすることです。
チームは通常、複数の案を用意してクライアントに選んでもらいます。選択肢があることで、最終的な判断が検討を重ねた結果だと確信できますし、一方的に納品を受けるのではなく、一緒に作り上げる感覚に近づきます。クライアントにとってもプロジェクトにとってもバランスのよい進め方ですが、まさにここに時間がかかります。
予算を抑えるには
予算を抑えるために、必ずしも映像への要求を下げる必要はありません。大切なのは、不確定な要素を減らすことです。
- 公開日やプラットフォームなど、用途と締め切りを確定する。
- 修正回数は、できる限り制限する。制限できない場合は、社内で意見をまとめてから一度に伝える。
- マーケティングチームが社内で窓口となり、コメントが妥当で方向性が一致しているか確認する。
- できる限り適切なスケジュールを確保する。
- ブリーフと素材を、最初からできるだけ揃えて明確にする。
クライアントが一緒に範囲を管理してくれるとわかれば、プロジェクトのリスクが下がり、見積もりも調整しやすくなります。
選択によって予算がどう変わるかを大まかに知りたい場合は、Commercialページの予算シミュレーターをご利用ください。
関連作品
- IG Storyプロダクトアニメーション | Nordinary:クライアントが商品と方向性を提供し、チームが3Dモデルとアニメーションを1週間以内に制作。
- 流れるようなプロダクトPR映像 | Pawoofペット用品:新商品のための流れるような3Dプロモーション映像。
- 「Made to Win」Adizeroランニングシューズ広告 | Adidas:代理店と協業し、撮影企画、3Dスキャンによるシューズのモデリング、アニメーション、コンポジットまでを担当。
おわりに
30秒は尺であって、価格ではありません。費用を決めるのは、プロジェクトがどれだけ確定しているかです。要求が明確で、範囲がはっきりし、進行がスムーズであれば、同じ予算でもより多くを画面に注ぐことができます。